電車にて

吐きそうだった。俺は電車に揺られながらうつむいていた。昨夜の寝不足、多量のコーヒーとタバコのせいだろう。夏の日差しが猛烈に不快だった。茶色の胃液がこみあがってくるのが分かる。

 

俺の座席の前には子供連れの若い夫婦が立っていた。気分が悪かった所為か、ふと妙なセリフが頭に浮かんだ。

 

 

「この子を神の子にしよう」



これは映画「まほろ駅前狂走曲」の悪役のセリフだ。むろん、俺は口に出してはいない。こんな事を公衆の面前で口走ったら大変な変態である。完全に頭いっている。

 

だが、これを気心の知れた友人に冗談として言ったらどうだろうか。例えば友人に子供が産まれたとき、ちょっとしたユーモアのある冗談になるのではないか。もっとも、映画と同じ様に父親にぶん殴られるかもしれない。




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松田龍平かっけー。